椅子から立ち上がるとき、太ももに力を込めることばかり考えていませんか。そのとき、足裏は床から押し返されています。JINENの「もらう」は、床などから受ける力や体の重さを、動きに生かすことです。自分の筋力だけで何とかしようとする前に、動く助けになる力へ目を向けます。足裏が床に押し返される感触や、座面に体重を預けたときの感触を確かめることから始まります。
画像を拡大いつも受け取っている力に気づく
床に立つと、体は床を押し、床からも押し返されています。この床から受ける力が床反力です。立っているときにも、歩くときにも働いている力です。椅子の座面や壁も、体を預けたり押したりすると支えになります。「もらう」という言葉は、普段は意識に上らないこの関係へ目を向けるために使います。
たとえば、椅子に座りながら腕を伸ばす場面を考えてみてください。手を伸ばす間、足裏やお尻にはどのくらい体重がかかっているでしょうか。腕と一緒に胴体はどう動くでしょうか。手先だけでなく、床や座面に触れている部分も感じながら動いてみます。腕の動きと、足裏やお尻で感じる圧の変化を一緒に確かめることが、力をもらうための入口です。
床反力の基本的な仕組みは床反力で、床との接点を起点にする考え方は床支点で説明しています。ここで大切にするのは、力の名前を覚えることより、受け取った支えを動作の中で使うことです。
受け取った支えを、全身の動きへ生かす
この腕を伸ばす動きの中で、腕や胴体がそれぞれどう動くかを感じ分けるのが「わける」、腕と胴体を一緒に使うのが「つなげる」、床や座面から力を受け取るのが「もらう」です。三つの観点を、一つの動作の中で組み合わせて使います。
支えを感じようとしても、肩や背中を強く固めたままでは、腕だけ、脚だけで頑張る使い方になりやすくなります。だからといって、全身の力を抜いて崩れればよいわけでもありません。足裏とお尻で体重を受け止めながら、胴体や腕が動くのを妨げる力みを減らします。支えることと固め続けることを区別するのが大切です。
床との接触が変わるとき、胴体や手足がどう応じるかも確かめます。受け取った力を全身の動きに生かす感覚は、力の通り道で詳しく説明しています。
日常の動きへ戻す
ドアを引いて開けるときは、腕で引く力に加えて、体重を後ろへ移す動きも使えます。ドアを持つ手につながる胴体が後ろへ動くことで、体の重さを引く動作に生かします。このときも足裏は床に支えられています。手や腕の力だけで頑張るときと、足・胴体・腕を一緒に使うときの違いを確かめてみます。
安定した足場で無理のない動作を選び、周囲の安全も保ちます。まず小さな動きで、足裏と床の接触を感じながら、腕や胴体がどう動くかを確かめます。床を押す強さは、その動作に必要な分だけ。動きの大きさに合わせて、力加減を探していきます。
「ゆだねる」とのつながり
「もらう」は、床や座面、重さなど、動きに使える力へ目を向ける言葉です。ゆだねるは、そのやりとりを細かな指示で妨げず、感じながら任せる姿勢を表します。支えをもらいながら、その先の連動をゆだねる。この二つを組み合わせることで、筋力だけに頼らず、床からの支えや全身の連動を使って動けます。