「力の通り道」は、地面を踏んだ力が、股関節、背骨、胸骨、腕へと流れ、体の中にひと続きの道ができるイメージを表すJINENの言葉です。足元から手先までがつながり、全身で一つの動作を行う感じを捉えます。動いた順番を見るだけでなく、体内を力が通って腕へ届くように感じることが、この言葉の特徴です。
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たどる目印は、「地面を踏む、股関節、背骨、胸骨、腕」です。胸骨は、胸の前側の中央にある骨です。足で踏んだ働きが股関節を通り、背骨から胸の前へつながり、その先の腕へ続く。これらの場所を一つの道として思い描きながら動きます。最初から全部をはっきり感じる必要はなく、感じ取りやすい場所から確かめます。
参考記事→股関節から動く
例えば、軽い扉を手で押す場面です。足の置き方を確かめてから地面を踏み、股関節、背骨、胸骨へとつながるイメージで、手を前へ出します。腕だけで扉を押そうとしたときと比べて、胴体の向きや脚の働きはどう変わるでしょうか。扉の重さに勝つことを目的にせず、足元から手までを一つの動作として感じます。
練習は、手ぶらの小さな動きから始められます。両足を床につけ、片手を少し前へ伸ばします。そのとき、「足裏から股関節へ」「背骨から胸骨へ」「胸骨から腕へ」と、注意を向ける場所をたどります。胸を大きく突き出したり、腰を反らせたりして形を作る必要はありません。普段の小さなリーチの中で、つながる感じを探します。
途中で一か所だけが頑張っているように感じたら、手を戻して、足の位置や股関節の向きを確かめます。肩にばかり力が入るなら、腕を低い位置へ戻してからもう一度試します。見る場所を絞りたいときは、足裏と胸骨、胸骨と手のように二か所を選べます。その間がどう動いたかを確かめてから、全体へ広げていきます。
参考記事→長い腕
背骨ウェーブや回旋を伴うワークでも、股関節から背骨、胸骨、腕へ続く感じに注目できます。骨盤を動かしたあとに胸が続き、その動きに腕が運ばれる。急いで手先の形を作るより、途中の胴体にも注意を向けます。つながりを感じるために、体を強くねじったり、関節を限界まで動かしたりしないでください。
同じ動作でも、立つ位置や手を出す方向によって、通り道の感じ方は変わります。正面へ手を出したあと、体ごと少し向きを変えて試してみます。地面を踏む感じ、股関節の動き、胸骨の向き、腕の運ばれ方を比べます。重い物を使わなくても、こうした条件の違いから、自分がどこを使っているかを確かめられます。痛みやしびれが出る場合は中止します。
科学的な補足
体を動かすときには、床から受ける外力と、筋肉や関節を介して各部に働く力が関わります。床を押して物を動かす場合も、床からの力が同じ大きさのまま物へ届くとは限らず、人自身の運動にも力が関わります。OpenStax:外力・内力と動かす対象の区別
また、関節の角度や力のかかる位置によって、関節を回そうとする働きは変わります。OpenStax:筋肉・関節に働く力とトルク JINENの「通り道」は、これらを一つの動作として感じるためのイメージです。股関節、背骨、胸骨、腕の順だけで力が伝わることや、それらを結ぶ一本の解剖学的な管があることを示すものではありません。
手を伸ばしたり物を押したりするときに、地面を踏むところから胸骨、腕までをたどってみます。腕の力だけでは捉えにくかった脚や胴体の働きも、力の通り道という一つのイメージにまとめて感じられます。
関連する一般辞典
床反力・姿勢制御・身体図式