前回の記事では、緊張とは「反射システムによって身体がのっとられた状態(防衛モード)」であり、そこから抜け出す第一歩として、体の一部を意識的に動かし「コントロール権を取り戻す」ことの重要性をお伝えしました。
今回はさらに一歩踏み込みます。
応急処置ではなく「そもそも緊張しにくい(防衛モードに入りにくい)体」もしくは「緊張してもすぐにリラックスできる体」を根本から作っていくための考え方です。
鍵となるのは、脳内にある「ボディマップ(身体地図)」の解像度と、「骨格の安定構造」です。
今回はボディマップを中心に説明します。
脳は「分からないもの」を警戒する
慢性的に緊張しやすい方、不安を感...
「肩や首の力がどうしても抜けない」
「呼吸が常に浅い」
「ちょっとしたことに動揺しやすい」
このような体の力みやすさ、緊張、不安や動揺の強さには、いくつかの要因がありますが、そのメカニズムを知ることで自分でやわらげていくことが可能です。
私は実際、多くの方にこの方法を伝えてきて効果を実感してもらっています。
これを自分で身につけるためには、まず「緊張」という反射のシステムを理解することが第一です。
緊張とは原始的なシステム
そもそも緊張とは、周囲の状況の変化を感じ取り、意識が働くよりも先に身体を「緊急事態への対処モード」へと切り替える体の反射的なシステムといえます。
つまり、私...
「姿勢を良くしよう」と背筋を伸ばした結果、すぐに疲れてしまったり、背中がバキバキに凝ってしまったりする方へ。
「いい姿勢」が疲れるのは、姿勢のメカニズムを誤解しているからかもしれません。
多くの人が考える「いい姿勢」は、見た目の形を整えることに終始しています。
しかし、本来の正しい姿勢とは、物理法則と身体のメカニズムが一致したときに「自ずから整う姿勢」です。
心身の深いリラックス、精神的安定、疲れ知らずの体をもたらすものです。
鍵となるのは「反力」です。
「形」を真似ると、体は崩れる
「胸を張る」「背筋を伸ばす」
こうした見た目の形だけを真似ようとすると、脳は体に「筋肉を固めて...
「姿勢を良くしようと意識すればするほど、逆に疲れてしまう」
「力を抜こうとすればするほど、体が強張る」
「人前だと頭が真っ白になり、動きまでギクシャクする」
長年、過緊張や慢性的なコリや疲れ、あるいは生きづらさを抱えている方の多くは、それを「自分の努力不足」や「性格の問題」だと思い込んでいるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。 努力以前に、体のメカニズムを正しく理解していない可能性があります。
体の不調の正体は、脳における「小さなエラー」と、自律神経という「基本ソフト(OS)」のバージョンのミスマッチにあります。
体を動かす「2つの回路」〜マニュアル運転と自動運転〜
...「集中力が続かない」あるいは「集中しすぎて翌日に寝込んでしまう」。
そんな極端な集中力のムラに悩んでいる方は少なくありません。
私自身、かつては過度に没頭しては燃え尽きたり、逆に意識が散漫になって自己嫌悪に陥ったりと、安定しないパフォーマンスに苦しんだことがあります。
しかし、心身のメカニズムを学び実践する中で、一つの答えに辿り着きました。 それが、あえて 100% 没頭しない「軽集中」という在り方です。
「没頭」という名のコントロール喪失
世の中では「没頭すること」が美徳とされがちですが、私の視点では、過度な没頭は一種の「コントロールを失った状態」と捉えます。
目の前の一点に意識...
現代社会において、私たちは常に「何か」をしています。
隙間時間ができれば反射的にスマートフォンを手に取り、甘い物で手軽な快感を得て、次から次へと流れてくる情報やエンターテインメントを消費する。
これらは脳の報酬系を刺激し、ドーパミンという神経伝達物質を分泌させます。
ドーパミンは「意欲」の源泉でもありますが、過剰になれば「もっと強い刺激」を求める終わりなきループ、いわゆる依存状態を形成します。
「分かっていてもやめられない」
「常に何かに追われているような焦燥感がある」
「集中力が続かず、頭の中が常にざわついている」
もしそのような感覚があるのなら、それはあなたの性格の問題ではな...
「最近、些細なことでイライラしてしまう」 「以前好きだったことに心が動かない」 「誰とも会いたくない」
もし今、あなたがそんな自分を「性格が変わってしまった」「冷たい人間になった」と責めているとしたら、少し立ち止まってください。
それは性格の問題ではなく、身体からのSOS、つまり「バーンアウト(燃え尽き症候群)」のサインかもしれません。
一般的にバーンアウトは「仕事の疲れ」と捉えられがちですが、私たちボディワーカーの視点から見ると、それは「自律神経系が極度のサバイバルモード(生存戦略)に入りっぱなしになっている状態」と言えます。
特に、私が仕事を通じてお会いする方の中では、セラピスト、...
「不安なことばかり考えてしまうから、ポジティブに捉え直そう」
「緊張しやすい性格だから、もっとメンタルを強く持たなきゃ」
生きづらさを解消するために、本を読んだりカウンセリングを受けたりして、「考え方」や「捉え方」を変える努力をしている方は多いと思います。
しかし、頭では分かっているのに、ふとした瞬間に動悸がしたり、体が固まったり、モヤモヤが晴れない、、
このようなケースをこれまで何度も耳にしました。
精神面のケアには大きく分けて2つのルートがあると考えられます。
世の中で一般的なのは「トップダウン」のアプローチです。これは、考え方や感情を変えたり、記憶を再解釈することで心を落ち着...
「運動神経が悪い」
「神経質な性格だと感じる」
「スポーツやダンスを習っているけれど、いつまで経っても動きがぎこちない」
「リラックスしようとしても、勝手に体が力んでしまう」
「ちょっとした音や刺激に、ビクッと過剰に反応してしまう」
こういった方は、実は努力不足や性格の問題ではなく、原始反射と関わる「脳と体の機能的なつながり」が原因かもしれません。
原始反射という子ども時代の「体の自動制御プログラム」が残っていると、過緊張や運動の不器用さに繋がってしまうのです。
今回は、なぜ大人になっても「勝手に体が反応してしまう」のか、その脳内メカニズムと、根本から動きを変えるための「脳...
「骨盤がゆがんでいる気がする」
「整体に行くと足の長さが違うと言われる」
「片方の腰や膝ばかり痛くなる」
こういった悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
一般的に「骨盤矯正」や「骨盤のゆがみ」という言葉がよく使われますが、実は骨盤の骨そのものがぐにゃりと曲がっているわけではありません。
多くの場合、その原因は「股関節まわりの筋力の左右差」にあります。
今回は、なぜ股関節の左右差が生まれるのか、それがどうして全身の不調につながるのか、そしてJINENボディワークの視点からどう解決していけばよいのかを解説します。
1. 骨盤のゆがみ=股関節が「はまっていない」状態
骨盤がゆ...
自律神経、ポリヴェーガル理論、原始反射統合(神経発達)、無意識下での身体の制御、整体・十二種体型など、バラバラに論じられていることは実はつながっています。
このような話題をもっと知りたいというお話を伺ったため、まだざっくりとしたまとめですが、こちらにメモしておきます。
最後の「まとめ」だけでも読んでみてください。
1. 現代人の誤解と実態
多くの人は「人間の思考や感情は、脳という独立的な指令器官によるもので、身体の状態とは関係ない」というイメージを持っているのではないかと思います。
しかし、実際には身体の状態、特に内臓や自律神経(身体のOS)からの深い影響を受けています。これが感情や...
努力の方向性が間違っている
「姿勢を良くしようと意識すると疲れる」
「力を抜こうとすればするほど、体が固まる」
「人前でうまく話せず、体もぎこちなくなる」
長年、慢性的なコリや疲れ、生きにくさを抱える多くの人々は、それを自身の「努力不足」や「性格の問題」だと捉えることが多いかもしれません。
しかし、最新の神経科学の見地から考えると、それは大きな誤解です。
問題は意志の弱さにあるのではありません。
脳神経の一種の「配線ミス」と、自律神経という「OS(基礎的なシステム)」のバージョン不適合にあるといえます。
この記事では、神経の発達と運動と脳の関係、自律神経の進化を紐解き、なぜ現代...