「長い脚」とは、お腹の奥や骨盤から足先までを一続きに捉え、体幹と脚をつないで使うことです。歩くときに膝から下や太ももだけへ注意を向けるのではなく、その動きを生み出すお腹や骨盤まで、脚として感じる範囲を広げます。骨そのものの長さではなく、脚をどこから使うかを表す言葉です。
画像を拡大脚は「お腹から始まる」
歩くとき、脚だけでなく、お腹や骨盤がどう動いているかも感じてみましょう。「ミゾオチからが脚」と表すこともあります。ミゾオチから脚を長いイメージで振るようにし、振り子のようにして歩きます。体重が移り、骨盤が動き、それに続いて脚が運ばれます。脚を太ももから先だけで動かすものと考えず、この一連の動きを捉える感覚を「脚がお腹から始まる」「お腹の奥から脚が動く」と表します。
たとえば椅子から立って歩き出す場面では、足を置く位置とともに、骨盤がどちらへ移動したか、どちらの脚で体重を受けたかも感じられます。立ち上がってから一歩を踏み出すまでに、お腹や骨盤と脚がどう動いたかを感じます。脚を持ち上げることだけに気を取られていたときより、胴体も一緒に動いていることに気づけます。
これは、長い腕と共通する考え方です。腕を肩先から手までに限らず、肩甲骨や鎖骨まで含めて使うように、脚も体幹から切り離さずに捉えます。腕と脚では構造や体重の支え方が違いますが、中心から末端へ動きを伝えるという視点は同じです。
いつもの歩幅で、動きの起点を感じる
長い脚の感覚を確かめるときは、いつもの歩幅のまま、脚がどこから運ばれるかに注目します。足をどこへ置いたかだけでなく、そこまで脚を運んだ骨盤や体幹の動きも感じます。足先を遠くへ出すことより、お腹・骨盤・脚が一緒に動く様子を捉えることが手がかりになります。
歩けば股関節や膝は曲がり、足首も動きます。そうした変化を許しながら、骨盤から足先までをつないで使います。「長くしよう」と膝を突っ張ると、動きに必要な曲げ伸ばしまで止めてしまいます。関節が動ける余裕を残しましょう。
お腹を強く固めて脚を引き上げ続ける必要もありません。「お腹から」は腹筋へ力を入れ続ける命令ではなく、動きを感じる範囲を広げる言葉です。脚の重さも感じながら、お腹や骨盤の動きに合わせて脚がどう運ばれるかを確かめます。
股関節を支点に、中心から脚へ
脚と体幹の間で支点になるのが、股関節です。股関節から動くでは、この支点を使って体を動かすことを扱います。「長い脚」は、その支点を含めて、脚全体をどこから感じ、使うかに焦点を当てます。
立つ、歩く、向きを変えるとき、膝や足先だけでなく、お腹や骨盤がどう動くかにも注意を向けます。中心から脚へ動きが伝わる考え方は、中心から動くで詳しく説明しています。
身体感覚の表現として理解する
「脚がお腹から始まる」は、体の使い方を導く身体感覚の表現です。解剖学上の脚の始まりを変更する説明ではありません。体幹と脚に関わる筋肉の構造は、腸腰筋の項目で確認できます。
日常では、歩き始めるときに骨盤がどう動き、そのあと脚がどう出るか、足を着くとどちらの脚に体重がかかるかを確かめていきます。無理に歩き方を変えて痛みが出たり、不安定になったりする場合は続けないでください。お腹から足先までを一続きに捉えることが、もともと備わっている全身の動きを使う手がかりになります。
関連語
長い腕:上半身での「長く使う」感覚。
股関節から動く:脚と体幹の支点。
中心から動く:動きの起点と伝わり方。
腸腰筋・身体図式:体の構造と、動くための身体の捉え方。