「股関節から動く」とは、脚の付け根で体重を受け、そこから骨盤や胴体を動かすことです。おじぎ、立ち座り、歩行などで使います。JINENでは、鼠径部を奥へ引き込む感じや、内もも、もも裏、お尻、下腹の奥が一緒に働く感じを手がかりにします。鼠径部は、下腹と太ももの境目にある部分です。
画像を拡大
おじぎをすると、動きがわかりやすくなります。足裏を床につけ、脚の付け根で折れるように上体を少し前へ傾けます。骨盤と上体が一緒に傾くと、お尻は後ろへ移ります。そのとき、もも裏やお尻で上体の重さを受ける感じを確かめます。呼吸を続けながら浅いおじぎをして、元に戻ります。このように股関節で折れる動きを、ヒップヒンジと呼びます。
「引き込む」は、脚の付け根が奥へ収まり、そこで体重を受ける感覚を示します。鼠径部を指で強く押したり、脚を骨盤へ押し込んだりする操作ではありません。おじぎをすると下腹と太ももの間にできる折れ目を、引き込みの目印にできます。前側が挟まる感じや痛みがあれば、その深さまで曲げ続けず、動きを小さくしてください。
近い表現に「股関節をはめる」と「股関節に乗り換える」があります。「はめる」は、引き込みとともに重さを受けられる安定感のこと。「乗り換える」は、体重を左右へ移して、受ける側を交代することです。両足で受ける感じを確かめたら、片側へ少し体重を移し、戻ります。乗った側のお尻やもも裏の感じを観察すると、両足で重さを受けるときとの違いがわかります。
椅子に座るときにも、脚の付け根で折れながらお尻を座面へ運びます。立つときには、座面に預けていた重さが足の上へ移り、床を押して上体が起きます。その間には、膝の曲げ伸ばしや、骨盤と背骨の動きも加わります。股関節だけを動かそうとせず、脚の付け根の動きに合わせて周りがどう動くかを見ていきます。安定した椅子を使い、必要に応じて手を添えて確かめます。
参考記事→背骨の3つの動き
顔を洗うときや低い棚へ手を伸ばすときにも、同じ見方ができます。洗面台へかがむなら、お尻が少し後ろへ動ける場所を空けると、脚の付け根で折れる動きを取りやすくなります。もも裏の張りが強ければ、かがむ深さを浅くします。深く曲げられたかより、どこで折れ、どこで上体の重さを受けているかを確かめます。
腰に強い痛みがある時期や、けがのあとに症状が続く場合は、練習で乗り越えようとせず専門家に確認してください。痛みの出る深さや重さまで進めず、無理のない範囲を使います。
科学的な補足
股関節は、大腿骨の丸い骨頭と、骨盤側の受け皿がつくる関節です。周囲の関節包や靱帯などが安定性を支え、立つ・歩くときの荷重を受けます。「はまる感じ」は、動きながら重さを受ける感覚を表しています。その感覚だけで、関節の位置が正しいかどうかを判断することはできません。股関節の構造(OpenStax)
股関節、膝、足首、体幹の働き方は、動作や負荷によって変わります。お尻やもも裏に感じがあっても、それだけで特定の筋肉の活動量はわかりません。練習では、感じた場所と実際に動かした部分を合わせて確かめます。
立つ、座る、かがむときに、脚の付け根はどう動いているでしょうか。浅くおじぎをして戻り、折れる場所と上体の重さを受ける場所を確かめます。かがむ動作を腰の曲げ方だけで考えず、脚の付け根で折れて上体を運ぶ動きとして捉えられます。
関連する一般辞典
腸腰筋・重心