「横転がりワーク」は、床に横になってゆっくり体の向きを変えながら、前庭覚や体性感覚への入力を扱うJINENの練習です。基礎的な感覚を通して、姿勢や動きを無意識に調整する働きを学び、高めることを目指します。
画像を拡大重さと接触の移り変わり
転がると頭の回転や傾きが変わり、床との接触も背中から体の側面へ移ります。頭の動きを捉える前庭覚と、接触や体の位置を捉える体性感覚が、このワークの手がかりです。姿勢の調整には、さらに視覚などの情報も組み合わされます。 感覚とバランスの解説(米国NIDCD)
JINENでは、指先から引かれるイメージでうつ伏せへ向かい、戻るときは足先が先導するイメージを使う方法があります。先に動く場所を変えて、ほかの部分がどうついてくるかを確かめます。重さを使う「ウェイトナビゲーション」や、全身の連動を学ぶ「つなげる」にも関わるワークです。
無理のない範囲で始める
導入では、仰向けから少し横を向いて戻る範囲でも、接触と重さの変化を確かめられます。首や肩の動かしやすさ、床への上り下りのしやすさに合わせ、指導を受けて始め方を選びます。
周囲に十分な空間を取り、転落のおそれがある場所では行いません。痛み、しびれ、めまい、吐き気が出たら中止します。寝返りに制限がある方は、一人で試す前に相談してください。
頭の向きや床との接触が変わる中で、体がどうついてくるかを感じてみましょう。先に動く部分と、それについてくる部分を確かめながら、感覚入力と自動調整の関係を学びます。
科学的な補足
Peterkaは、平衡障害やめまいの既往のない成人8人と、重度の両側前庭機能喪失がある4人を対象に、周囲の視覚環境や足元の支持面を動かし、立位での揺れを調べました。立位での感覚統合を扱う研究で、横転がりワークによる訓練効果の検証ではありません。前庭機能が保たれた参加者の結果は、視覚・前庭覚・固有感覚の情報を組み合わせ、条件に応じて頼る比重を変える働きを支持しています。感覚を受け取るだけでなく、状況に合わせてその情報を使うことが、姿勢を支える仕組みの一つだと分かります。研究論文(Peterka、2002)