けつごうそしき|connective tissue|組織学・解剖
肘を曲げると、皮膚の形が変わり、その下では筋肉が力を発揮し、腱を介して骨が動きます。皮膚の真皮、筋肉を包む膜、腱、骨は、いずれも結合組織を含んでいます。 CT-S5 CT-S7 CT-S10
結合組織は、体の各部分をつなぎ、支え、包む組織の総称です。組織とは、細胞と周囲の成分がまとまり、一定の構造や働きを持つものです。結合組織には、脂肪や軟骨、血液も含まれ、それぞれ物質の貯蔵、荷重の支持、運搬などを担っています。 CT-S1
皮膚から筋肉の中へ
腕の表面から内側へ見ていくと、皮膚の表皮、その下の真皮、脂肪を含む皮下組織、筋肉を包む筋膜が重なっています。体の表面を覆う表皮は上皮組織で、真皮や皮下組織は結合組織です。皮下組織は、皮膚とその奥にある筋膜をつないでいます。 CT-S5
筋肉の中にも、結合組織の薄い層が入り込んでいます。筋肉全体を包むのが筋上膜、筋線維の束を包むのが筋周膜、一本ずつの筋線維を囲むのが筋内膜です。筋線維は、収縮して力を生む細長い筋細胞を指します。周囲の結合組織は、その力を腱へ伝える経路の一部になっています。 CT-S10
筋肉には血管や神経も入り、筋線維の間に向かって枝分かれしています。血管からは酸素や栄養が届き、神経からは収縮を起こす信号が伝わります。一つの筋肉には、力を生む筋組織、信号を伝える神経組織、それらを包んで支える結合組織が組み合わされています。上皮組織を加えたこの四つが、体をつくる基本的な組織の種類です。 CT-S10 CT-S1
細胞の外側を満たす成分
真皮や筋膜をさらに拡大すると、細胞の周りに線維が走り、その間を水分の多い成分が満たしています。細胞の外にあるこうした成分を、細胞外マトリックスと呼びます。「細胞外基質」ともいい、英語の略称はECMです。 CT-S3 CT-S2
マトリックスのうち、線維の間を満たす部分を基質と呼びます。水や、長い糖の鎖を含む成分などからできています。例えば、ヒアルロン酸は糖が長くつながった分子で、プロテオグリカンはタンパク質に糖の鎖が付いた分子です。こうした成分が水分を保持し、細胞や線維の間に水を含む環境をつくります。 CT-S3
線維の間には、コラーゲンなどをつくる線維芽細胞や、異物への防御に働く細胞がいます。マクロファージは、細菌や傷んだ細胞の残骸などを取り込む細胞です。血管の外へ移動してきた白血球も、この場所で防御の働きに加わります。 CT-S2 CT-S9
引っ張る力を受ける線維と、伸びて戻る線維
代表的な線維がコラーゲン線維です。コラーゲンはタンパク質で、引っ張られる力に耐える構造をつくります。腱では、線維が密に集まり、主な力の方向に沿って並んでいます。肘を曲げる筋肉が腱を引くと、その方向の力を線維の束が受け、骨へ伝えます。 CT-S4 CT-S10
真皮の深い部分では、コラーゲンの束がさまざまな方向に走っています。肘を曲げたり伸ばしたりすると、皮膚も引かれたり形を変えたりします。多方向に配置された線維は、異なる向きから加わる引っ張りに抵抗します。 CT-S5 CT-S2
弾性線維は、伸ばされた後に戻る性質を持ちます。主な成分はエラスチンで、皮膚や大きな血管の壁などにあります。皮膚にはコラーゲン線維と弾性線維がともに含まれ、引っ張りに耐えながら変形し、力が減ると戻る性質に関わっています。 CT-S4 CT-S5
細網線維は、細いコラーゲンの線維が網目状に広がったものです。リンパ節などでは、この網目に細胞が支えられています。リンパ節は、リンパ液が通る経路にある小さな器官で、内部には異物への防御に働く免疫細胞が集まっています。 CT-S4 CT-S12
線維の密な層と、疎な層
線維がゆるやかに配置されたものを疎性結合組織といいます。皮下や血管の周囲、臓器の間などに分布し、隣り合う組織をつなぎます。線維の間には水分を含む基質があり、血液から届いた栄養などの物質は、そこを通って周囲の細胞へ移動します。 CT-S2
線維が密に集まるものは密性結合組織です。腱のように線維の向きがよくそろったものや、真皮の深い部分のように複数の方向へ走るものがあります。 CT-S2
筋膜の層構造を調べるため、防腐処理をしていない6体の献体から、胸と太ももの組織を採った研究があります。太ももの深筋膜では、コラーゲンの束が二〜三層に分かれ、一つの層の中では向きがそろい、隣の層では方向が変わっていました。その筋膜と、下にある筋肉の筋上膜との間には、疎な結合組織がありました。 CT-P1
関節の軟骨と、その下の骨
膝や肘で向かい合う骨の関節面は、関節軟骨で覆われています。軟骨細胞の周りには、コラーゲンやプロテオグリカン、水分を含むマトリックスが広がっています。表面は滑らかで、骨同士が動くときの摩擦を少なくします。 CT-S6 CT-S2
立って体重をかけると、膝の関節軟骨は押し縮める方向の力、つまり圧縮を受けます。軟骨は変形し、内部の水分も移動します。水分を引きつけるプロテオグリカンと、それを保持するコラーゲンの網目が、圧縮されたときの抵抗を生みます。 CT-S6 CT-S3
軟骨の下にある骨では、コラーゲンを含むマトリックスに、リン酸カルシウムを主成分とするミネラルが沈着しています。この石灰化によって、骨は硬くなります。マトリックスの中には骨細胞があり、細長い突起を伸ばして、周囲の細胞とつながっています。突起が通る細い管は、骨細胞へ栄養が届く経路にもなっています。 CT-S7
脂肪を蓄える組織と、血液
皮下の脂肪組織では、脂肪細胞が細胞の内側に脂質を蓄えています。脂質は、必要に応じてエネルギー源として利用されます。皮下脂肪は熱を逃がしにくくし、外から加わる力も和らげます。脂肪細胞の集まりには、細い血管や、細胞を支える結合組織の線維が通っています。 CT-S11 CT-S5 CT-S2
血液の細胞外マトリックスは、液体の血漿です。その中を、赤血球、白血球、血小板などが流れています。赤血球は酸素を運び、白血球は防御に働きます。血小板は細胞の断片で、血管が傷ついたときの止血に関わります。栄養やホルモンなど、血漿に溶けて運ばれる物質もあります。 CT-S8
細胞が成分をつくり替える
結合組織の成分は、そこにいる細胞によって維持されています。筋膜や真皮、腱では、線維芽細胞がコラーゲンや基質の成分をつくります。周囲の成分を分解する酵素もつくり、マトリックスの組み替えに関わっています。 CT-S9
骨の表面では、破骨細胞が骨の一部を取り除き、骨芽細胞が新しいマトリックスをつくります。こうして骨の一部を吸収し、新しい骨に置き換える過程を、骨リモデリングといいます。 CT-S7
運動後の変化を調べた研究では、健康な若い男性が、装置で負荷をかけながら、片脚で膝を伸ばす運動を1時間繰り返しました。運動後には、膝のお皿とすねの骨をつなぐ膝蓋腱と、太もも前面の大腿四頭筋から組織を少量採取しています。一定の栄養補給のもとで、新しくつくられるコラーゲンの割合を測りました。 CT-P2 CT-S13
この条件では、両方の組織で、6時間後と24時間後にコラーゲンの合成速度が安静時より高くなっていました。その後の測定では低下し、72時間後には、筋肉のコラーゲン合成は安静時と同じ程度になりました。膝蓋腱では、この時点にも安静時より高い合成速度が続いていました。 CT-P2
関連語
ファシア(筋膜)、腱、靱帯、コラーゲン、細胞外マトリックス、線維芽細胞、関節軟骨
出典
- CT-S5:Betts JG, Young KA, Wise JA, et al. 5.1 Layers of the Skin Anatomy and Physiology 2e. OpenStax; 2022.
- CT-S7:Betts JG, Young KA, Wise JA, et al. 6.3 Bone Structure Anatomy and Physiology 2e. OpenStax; 2022.
- CT-S10:Betts JG, Young KA, Wise JA, et al. 10.2 Skeletal Muscle Anatomy and Physiology 2e. OpenStax; 2022.
- CT-S1:Kamrani P, Marston G, Arbor TC, Jan A. Anatomy, Connective Tissue StatPearls. Updated March 5, 2023.
- CT-S3:University of Leeds. Extracellular Matrix The Histology Guide. 更新日記載なし。
- CT-S2:Betts JG, Young KA, Wise JA, et al. 4.3 Connective Tissue Supports and Protects Anatomy and Physiology 2e. OpenStax; 2022.
- CT-S9:Dick MK, Miao JH, Limaiem F. Histology, Fibroblast StatPearls. Updated May 1, 2023.
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- CT-S12:Betts JG, Young KA, Wise JA, et al. 21.1 Anatomy of the Lymphatic and Immune Systems Anatomy and Physiology 2e. OpenStax; 2022.
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- CT-S13:American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS). Patellar Tendon Tear — Anatomy OrthoInfo. 更新日未確認。
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