体がだるい原因の神経科学|「倦怠感」を背側迷走神経の視点で読み解く

May 09, 2026

「動こうとしても体が重い」「特に何もしていないのにだるい」「朝から夕方まで倦怠感が続く」「気力で動かしている感じがする」「だるさが治らず、自分を責めてしまう」。 こうしただるさ・倦怠感は、運動不足や根性の問題ではありません。神経科学の視点から見ると、だるさは自律神経・特に背側迷走神経系の状態として読み解けます[1]

この記事では、だるさの神経科学を整理し、JINENボディワークが提案する身体からだるさを抜くアプローチをご紹介します。


だるさを担う神経系のしくみ

背側迷走神経系の活性化

ポリヴェーガル理論で言う背側迷走神経系が活性化していると、神経系は省エネモードに入ります[2]

  • 心拍・血圧が下がる
  • 末梢の血流が減る
  • 動きが鈍る
  • 気力が湧かない
  • 体が重い・だるい

これは進化的に「これ以上動けない」という防衛反応で、慢性的な過負荷への神経系の応答として現れます。

慢性炎症の影響

慢性的な低レベル炎症は、サイトカインを介して脳に届き、「病気行動(sickness behavior)」を引き起こします[3]

  • だるさ
  • 食欲低下
  • 社会活動への興味の低下
  • 寝込みたくなる感覚

これらは、感染時に休息を取らせるための進化的な保護メカニズムですが、慢性的に発動するとだるさが長期化します。

自律神経のリズムの乱れ

朝に交感神経が立ち上がり、夜に副交感神経が優位になる概日リズムが乱れていると、

  • 朝から体が起きない
  • 日中ずっとだるい
  • 夜に逆に冴える

という形で、だるさが続きます[4]


だるさが続く神経科学的な5つの理由

理由①:慢性的な過負荷による背側活性化

長期のストレスが続くと、神経系がシャットダウンモードに入ります。

理由②:睡眠の質の低下

寝ても深い眠りが取れていなければ、回復が起こりません。

理由③:身体活動の不足

座りっぱなしの生活はミトコンドリア機能を落とし、エネルギー産生が低下します[5]

理由④:身体的な要因

鉄欠乏・甲状腺機能低下・ビタミンD不足・脱水も倦怠感の原因です。これらは医療機関での評価が役立ちます。

理由⑤:感情の蓄積

未処理の感情・抑え込み続けた緊張は、エネルギーを消費し続けます。


だるさを抜く神経科学的な4つの方向

① 神経系を腹側へ近づける

背側→交感→腹側の順に段階を踏みます[2]。背側からいきなり活動モードへは飛べません。呼吸・身体感覚・周辺視で、まず腹側に近づけます。

② 小さな身体活動から

激しい運動ではなく、短い散歩・ゆっくりとしたストレッチ・呼吸ワークから。

③ 睡眠の質の改善

寝る前の神経系の整え・寝る前の光の制限・起床時間の固定で、睡眠の質を上げます。

④ 自分を責めない

だるさを「弱さ」と評価することが、神経系をさらに警戒モードに追い込みます。「神経系が休もうとしている」と認める姿勢が、回復を加速します。


JINENボディワークが提案する「身体からだるさを抜く」アプローチ

① 重力に体重を預ける

「動こう」とする前に、完全に体重を預ける時間を持ちます。

② 呼吸を整える

吐く息を長くする呼吸(4秒吸って8秒吐く)で、副交感神経を活性化。

③ ごく小さな動きから

指先・手首・足首をゆっくり動かす程度から。

④ 慢性緊張を抜く

胸・肩・顎の慢性緊張を抜く時間を毎日持ちます。


ミニ実践:だるさを抜く3分

  1. 仰向けで寝ます。
  2. 完全に体重を預ける姿勢で。
  3. 4秒吸って8秒吐く呼吸を5回。
  4. 手のひらをグー・パーを5回、足首をゆっくり回すを左右5回。
  5. ここまでで十分」と確認します。

まとめ:だるさは神経系の状態のサイン

だるさの神経科学は、

  • 背側迷走神経系の活性化
  • 慢性炎症・サイトカインによる病気行動
  • 概日リズムの乱れ
  • 神経系のモードを腹側に近づけることで抜けやすくなる

だるさは「弱さ」ではなく、神経系が休息を求めているサインです。JINENボディワークは、特別な薬や栄養に頼らず、身体・呼吸・神経系からだるさの土台を整えていきます。


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参考文献

  1. McEwen BS. (1998). Stress, adaptation, and disease. Allostasis and allostatic load. Annals of the New York Academy of Sciences, 840, 33-44. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9629234/

  2. Porges SW. (2007). The polyvagal perspective. Biological Psychology, 74(2), 116-143. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17049418/

  3. Dantzer R, O'Connor JC, Freund GG, Johnson RW, Kelley KW. (2008). From inflammation to sickness and depression: when the immune system subjugates the brain. Nature Reviews Neuroscience, 9(1), 46-56. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18073775/

  4. Hastings MH, Reddy AB, Maywood ES. (2003). A clockwork web: circadian timing in brain and periphery, in health and disease. Nature Reviews Neuroscience, 4(8), 649-661. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12894240/

  5. Booth FW, Roberts CK, Laye MJ. (2012). Lack of exercise is a major cause of chronic diseases. Comprehensive Physiology, 2(2), 1143-1211. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23798298/


補足:本記事は神経科学の研究を踏まえた一般解説です。長期にわたる強いだるさが続く場合は、貧血・甲状腺機能異常・慢性疾患の除外のため医療機関の受診をおすすめします。

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