「末端優位」と「中心優位」は、動きがどこから始まり、体のどこへ伝わるかを見るためのJINENの言葉です。手先や足先の動きが先に出て、胴体がその場にとどまる使い方を末端優位と呼びます。胸や背骨、骨盤、股関節などの中心から、手足の末端へ動きが伝わる使い方が中心優位です。同じ人でも、動作によって使い方は変わります。
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たとえば、腕を開いて手のひらを上へ返す動作です。胸を動かさなくても、手の向きは変えられます。一方、JINENのらせんの練習では、胸の真ん中からねじり、鎖骨と肩甲骨、上腕、肘、手へと動きが伝わります。手のひらが返るのは最後です。見た目の手の向きが同じでも、始まる場所とそこまでの動き方が違います。
この練習では、胸の向きが変わるのに合わせて、腕の高さや肘の曲がり方も変わります。腕を水平に保とうとして動きにくくなったら、いったん腕を下ろし、胸と鎖骨の小さな動きから確かめます。腕の完成した形を先に決めるより、胸から順に動きをたどると、何を練習しているかがわかりやすくなります。
股関節までつなげるときは、段階を分けます。まず左右の股関節を交互に引き込み、骨盤のねじれを感じます。次に胸から腕へのねじれを確かめ、最後に両方を合わせます。股関節、骨盤、胸、腕へと動きが続くのを、一度に全部こなそうとせず順に経験します。途中で手が先に動いたら、胸の動きからやり直して違いを比べます。
中心と末端の役割を「モーターとフレーム」にたとえることもあります。骨盤や股関節などを動きを生む側、腕や手足をその動きを受けて伝える側として見る表現です。ドアを押す場面なら、足腰で体を運び、その動きを腕からドアへ渡す、と考えると想像しやすいでしょう。注目する中心は、腕の練習なら胸や肩甲骨、歩く練習なら骨盤や股関節というように具体的にします。
手先の細かな動きも、日常には欠かせません。文字を書く、ボタンを留める、鍵を回すときには、指先で位置や力を調整します。どんな動作でも胴体から大きく動かせばよい、という意味ではありません。中心優位の練習で確かめるのは、必要なときに胸や骨盤の動き、足で体重を受ける働きを、手足の操作と組み合わせる使い方です。
練習後は、普段の動作を一つ選んで観察してみます。物を押すときに、手だけが先に出ているのか、体も一緒に進んでいるのか。二つの呼び方を知っていると、違いを具体的に説明できます。動き方を決めつけるためではなく、その場で使える方法を増やすために用います。
科学的な補足
8人が立ったまま複数方向へ手を伸ばす動作を調べた研究では、腕の動きに先立つ時期や、目標へ届く直前の時期に、下肢の筋活動と床反力が計測されています。手を動かす課題でも、全身が姿勢を支える働きに関わることを示す研究です。立位での到達動作と予測的姿勢調整の研究
研究で測る筋活動や床反力と、本人が感じる「胸から動いた」という順番は別の情報です。この研究は、JINENの二つの分類や練習効果を検証したものではありません。「末端優位」「中心優位」は、動作を観察し、練習の狙いを伝える言葉として使います。
物を押すとき、今日は手が先に出ていた。次は胸から少し向きを変えてみる。同じ動作を二通り試すと、腕の動かし方や、胸から腕へ動きが伝わる順番にどんな違いがあるかを比べられます。