「肩や首の力がどうしても抜けない」
「呼吸が常に浅い」
「ちょっとしたことに動揺しやすい」
このような体の力みやすさ、緊張、不安や動揺の強さには、いくつかの要因がありますが、そのメカニズムを知ることで自分でやわらげていくことが可能です。
私は実際、多くの方にこの方法を伝えてきて効果を実感してもらっています。
これを自分で身につけるためには、まず「緊張」という反射のシステムを理解することが第一です。
緊張とは原始的なシステム
そもそも緊張とは、周囲の状況の変化を感じ取り、意識が働くよりも先に身体を「緊急事態への対処モード」へと切り替える体の反射的なシステムといえます。
つまり、私たちが進化の過程で「生き残る」ために身につけてきた、原始的なシステムです。
危機的な状況を切り抜けるために、内臓から筋肉までのすべてを「生き残る」モードにする。これが緊張です。
身を守るための優れたシステムなのですから、それを否定し「ダメなもの」だと思う必要はありません。
身を守ってくれている大事な反応であることをまずは受け入れましょう。
問題は「スイッチ」にある
緊張という体の反射的な働きは、本来であれば、「危機が去った」と脳が判断できれば、自然におさまるようにできています。
しかし、現代の複雑なストレス環境下では、このモードが切り替わりにくくなり、慢性的な肩こりや不安感、感情制御の難しさとして表れることが少なくありません。
問題は緊張という反射的な反応そのものではなく、この「切り替わりにくさ」「慢性化すること」にあります。スイッチがONのままになり、OFFにならないのが問題なのです。
この「抜け出せない緊張」をやわらげるための第一歩は、体を「反射にのっとられた状態」から解き放つことです。
緊張とは、体が乗っ取られること
人間は危機に直面すると、素早く逃げたり衝撃に耐えたりするために、反射的に制御します。
具体的には、
- 筋肉を固めて頭や内臓を守ろうとする防御姿勢(ファイティングポーズや亀のような姿勢)
→猫背、肩をすくめる、肘を曲げる、首をすくめる - すぐに逃げたり敵に跳びかかれるように、力を溜める姿勢
→膝を曲げる、股関節を曲げる、踵を浮かせる - 感覚の感度を上げて周囲から最大限、情報収集しようとする
→目を見開く、耳を緊張させる、呼吸音を最小にする(息を止める)
などです。

リングの上のボクサーのようになってしまう。
これは意思ではなく、反射的なシステムによって自動で起こるものです。
つまり、反射によって全身が自動制御されて特定の姿勢や動きが起こってしまうこと、意思による制御が効かなくなった状態。これが緊張による身体の反応です。
繰り返しになりますが、これは本当に危険な状態では当然必要な反応です。
問題は、身の危険がないのに緊張が続き、体が通常モード・安全モードに切り替わらないこと。
反射システムによって体がのっとられたまま、そこから抜け出せないことが問題です。
そこで、緊張から抜け出す上で有効な方法の1つが、体の一部だけを自分の意識で動かしてコントロール権を意思の方に取り戻していくことです。
緊張から抜け出す簡単な方法
体の一部を自分で意識的にコントロールすることで、緊張を少しずつ解きほぐしていくことができます。
日常でできる簡単な方法は下記のものです。いずれも立ったまま、座ったままでOKですし、厳密に考えずざっくりとやる感じで。
- 深呼吸
- 手をグーパーする
- 軽く背骨を丸め、反る
- 腕を胸でクロスして全身を丸め、上を向きながら腕を左右に開き、背中を反る
- 足踏み
とにかく簡単な動きで体の一部を動かす。
そして、意思の元に体のコントロール権を取り戻す。
「体が自分で動かせる」ことから、脳は「今は安全なのだ」と認識できます。
そして、緊張の誤作動(切り替わらない・慢性化)をやわげることができるのです。
さて、今回は簡単な対処法をお伝えしましたので、次回はもう少し詳しく「緊張しにくい体を作っていくための考え方」について書こうと思います。
ちなみに、このように「体を分けて動かす」ことは、JINENボディワークのプログラムの第2ステップで体系化しています。
これは緊張を解くためにも、体の正しい動かし方を身につける上でも基本になる部分なのです。本来なら、あらゆる姿勢づくりや運動指導の基礎として行うべきものです。