「力を抜こう」と頑張るほど、体は固まる。その「疲れ」の正体と、脳の再インストール法

Dec 17, 2025

「姿勢を良くしようと意識すると、すぐに疲れてしまう」

「力を抜いて、と言われると、余計に固まってしまう」

「昔から運動神経が悪く、何をやってもぎこちない」

もしあなたが、長年取れないコリや、慢性的な疲れ、あるいは「自分の体なのに思い通りにならない」という感覚に悩んでいるなら、それは努力が足りないからではありません

実は、「使っている脳の回路」が間違っているだけである可能性があります。

この記事では精神論ではなく、神経科学と発達の視点から、体の「重苦しさ」の正体と、それを根本から改善する方法を解説します。

体を根本から疲れさせる「マニュアル運転」

私たちの脳には、体を動かすための主要な回路が2つあります。

  1. 意識的な回路(皮質脊髄路) 「指先を細かく動かす」「意識して形を作る」ときに使う、人間特有の新しい回路です。

  2. 無意識的な回路(網様体脊髄路) 「姿勢を保つ」「歩く」「バランスをとる」ときに勝手に働く、動物的な古い回路です。

本来、立ったり歩いたりといった基本動作は、②の「無意識回路」による全自動モードで行われるべきです。

これは非常に省エネです。

しかし、過緊張タイプの方や運動が苦手な方の多くは、この自動モードがうまく働いていません。

そのため、①の「意識的な回路」を使って、無理やり筋肉を固めて体を支えています。

これは例えるなら、高性能な自動運転車に乗っているのに、あえて機能をオフにして、ガチガチに緊張しながらマニュアル運転をしているようなもの

これでは、ただ立っているだけでヘトヘトに疲れてしまうのも無理はありません。

なぜ「自動運転」が作動しないのか?

なぜ、便利な自動モードがオフになってしまったのでしょうか? ここで重要になるのが「APA(予測的姿勢制御)」という機能です。

私たちが手を上げたり動いたりする時、脳は本来、そのコンマ数秒前に「このままだとバランスが崩れるぞ」と予測し、無意識にお腹や背中の筋肉を調整して備えます。これがAPAです。

この機能は、生まれつき備わっているものではありません。

赤ちゃんの頃からの「発達のプロセス」を通じて、後天的にインストールされるものです。

現代社会では、平らな床や動かない生活、そして視覚情報の過多により、この「発達のプロセス」に必要な刺激が不足しがちです。

その結果、APA(予測機能)が十分に育たないまま、あるいは誤作動を起こしたまま大人になってしまうケースが増えていると思われます。

これは一般的に「発達障害」「運動の苦手さ(DCD)」という文脈で語られることが多いですが、現代においては特定の診断名に関わらず、多くの人が抱える「グラデーションのある現代病」であろうと思います。

APAが働かないと、体は「予測」できない恐怖から、常に筋肉を固めて「防御」するしかなくなります。これが過緊張の正体です。

大人のための「脳の再インストール」手順

「じゃあ、大人になった自分はもう手遅れ?」と思うかもしれませんが、安心してください。

人間の脳には「可塑性(かそせい)」という、何歳からでも回路を書き換える能力があります。

ただし、やみくもに筋トレやストレッチをしても意味がありません。正しい順序で「体のOSの再インストール」を行う必要があります。

具体的には、以下の4ステップです。

Step 1:多様な刺激

まずは、脳に「体」を思い出させます。

揺れる、回る、圧迫される、バランスを取る。

視覚に頼らず、三半規管や体性感覚を刺激し、ボディマップ(脳内の身体地図)をアップデートします。

これは、JINENボディワークでは「リラックスワーク」「骨格コントロール」といったコースで行っています。

Step 2:粗大運動

細かいフォームは気にせず、ダイナミックに動きます。

這う、転がる、弾む。 ここで、眠っていた「無意識的な回路(網様体脊髄路)」を叩き起こします。

また、このときに重力や反力を感じ、それに反応するように体幹を使うことを学習します。これは、JINENボディワークでは「ゆだねる動き」「上虚下実」といったコンセプトでお伝えしています。

Step 3:予測と微調整(APA)

あえて不安定な動きをして「おっとっと」とバランスを崩す運動を繰り返し行います。

この「予測とズレ」の修正こそが、脳の自動制御プログラム(APA)を育てる最高の餌になります。

Step 4:微細運動

土台となる体幹が、無意識(APA)で安定して初めて、手先や足先の細かいコントロールが可能になります。

ここまで来てようやく、「意識的な回路」が本来の役割を果たせるようになります。

これが多くのスポーツ、ダンスなどで行われるスキル、テクニックの段階の練習です。

多くの人は、Step 1〜3の土台がない状態で、いきなりStep 4の「正しい姿勢」や「細かい動き」を練習しようとします。

また、このメカニズムの理解がないセラピストや運動指導者は、いきなりStep4を教えようとして「いつまでも上達しない生徒」をつくりだしてしまいます。

これでは、砂上の楼閣を作るようなもので、余計に体を固める原因になります。

「頑張って動かす」のをやめて、「動きが湧き起こる」感覚を取り戻す。

JINENボディワークでは、この脳科学的な発達プロセスに基づき、大人のための「身体OS再構築」を行っています。

長年の緊張を手放し、本来の「自動運転」に身を任せる心地よさを、ぜひ体験してみてください。

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