不安や緊張を根っこから解く「身体からのボトムアップ」の心のケア

Jan 08, 2026

「不安なことばかり考えてしまうから、ポジティブに捉え直そう」

「緊張しやすい性格だから、もっとメンタルを強く持たなきゃ」

生きづらさを解消するために、本を読んだりカウンセリングを受けたりして、「考え方」や「捉え方」を変える努力をしている方は多いと思います。

しかし、頭では分かっているのに、ふとした瞬間に動悸がしたり、体が固まったり、モヤモヤが晴れない、、

このようなケースをこれまで何度も耳にしました。

精神面のケアには大きく分けて2つのルートがあると考えられます。

世の中で一般的なのは「トップダウン」のアプローチです。これは、考え方や感情を変えたり、記憶を再解釈することで心を落ち着けるものだといえます。

トップ、つまり頭の働きを変えることで、心身の在り方を変えようという「上から下」への方法です。

そしてもう1つは、過緊張や根深い不安を解消するために必要な「ボトムアップ」のアプローチです。

ボトム、つまり「身体」という頭や心の働きのベースから「下から上へ」変える方法です。

今回は、なぜ「考え方」を変えるだけでは不十分なのか、身体からのアプローチが大事なのか、脳と体のメカニズムから解説します。

1. 「トップダウン」と「ボトムアップ」の違い

心のケアは、アプローチの方向によって以下の2つに分けられます。

① トップダウン(脳の新しい部分 → 体・感情)

「上から下へ」のアプローチです。 言葉や理屈を使って、大脳皮質(理性を司る新しい脳)から、感情や身体反応をコントロールしようとする方法です。

  • 具体例: 認知行動療法、カウンセリング、ポジティブシンキング、自己啓発など。

  • 特徴: 「考え方」や「記憶の解釈」を変えることで、心を楽にします。もちろん、これは生きていく上でとても大切なスキルです。

② ボトムアップ(体・脳の古い部分 → 心)

「下から上へ」のアプローチです。 身体感覚や自律神経、脳幹(本能を司る古い脳)に直接働きかけ、その結果として「安心感」や「心の安定」を生み出す方法です。

  • 具体例: 呼吸法、ボディワーク、感覚の刺激、音楽など。

  • 特徴: 言葉や理屈ではなく、身体という「物質的な土台」を整えることで、心の状態を変えます。

2. なぜ「考え方」を変えるだけでは不十分なのか?

「頭(トップダウン)では大丈夫と分かっているのに、不安が消えない」 この現象が起きる理由は、脳の情報の伝わり方にあります。

理由①:「安心」の信号は、体から脳へ送られる

実は、脳と内臓などをつなぐ迷走神経の情報の約80%は「体から脳へ(上行性)」の情報だと言われています

つまり、脳は「今の状況が安全かどうか」を判断する際、目の前の現実以上に「自分の体の状態」を参考にしているのです。

もし、あなたの体が無意識に緊張し、呼吸が浅く、背中が強張っていたらどうなるでしょうか? 体は脳に向かって「緊急事態だ!ここは危険だ!」という信号(アラート)を送り続けます。

この状態でいくら頭で「大丈夫、リラックスしよう」と考えても、脳の警報装置は鳴り止みません。これがトップダウンの限界です。

理由②:古い脳は「理屈」より「感覚」に反応する

不安や恐怖を感じるのは、脳の深い部分(偏桃体や脳幹など)です。

ここは言葉や理屈が通じにくいエリアです。 その代わり、「心地よい触覚」「安定したリズム」「深い呼吸」といった身体感覚には素直に反応します。

JINENボディワークで大切にしているのは、この「古い脳」に直接「ここは安全だよ」と伝えること。これを専門的には「ニューロセプション(神経による安全の検知)」と呼びます  

3. JINEN流「ボトムアップ」のケアとは?

では、具体的にどうすればよいのでしょうか?

ただマッサージを受けて「気持ちいい」で終わらせるのではなく、脳の神経回路を書き換えるようなアプローチが有効です。

  • 内部感覚(インターセプション)に気づく

     自分の鼓動、お腹の温かさ、体の重さなど、体の内側の感覚に意識を向けます。内側の感覚が豊かになると、脳は「自分はここに存在している」という確かな実感を持ち、漠然とした不安が減っていきます 

  • 原始反射や自律神経を整える動き

     背骨を揺らしたり、床の上で転がったりする動きは、赤ちゃんの頃の発達過程をなぞる動きです。これにより、脳幹レベルに残っている過剰な警戒モード(過緊張)を解除していきます

  • 「安定構造」をつくる

     股関節がはまり、地に足がついた(グラウンディングした)体の状態をつくります。体が物理的に安定すると、脳はそれを「心理的な安定」として翻訳します 体には重力と反力のラインが一致した「軸」ができ、心身ともに安定します。

結論:心を変えるために、まず体を変える

トップダウン(考え方)のケアは、建物の「外装」「内装」を整えるようなものです。 対してボトムアップ(身体)のケアは、建物の「基礎や柱」を直す工事です。

基礎がグラグラした状態で、一生懸命に壁紙を張り替えようとしても、すぐにひび割れてしまいますよね。

過緊張や強い不安を感じやすい方は、まず「身体という土台」をボトムアップで整えることが、遠回りのようで一番の近道になります。

「考えすぎて疲れてしまう」 そんな時は、思考を一旦手放して、床の上で体をゆだね、呼吸や重さを感じる時間を持ってみてください。

体が「安心」を感じたとき、心は自然と静かになっていくはずです。

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