前回の記事では、筋力ではなく「反力」を使って楽に立つ方法をお伝えしました。
しかし、いざ実践しようとしても
「地面からの力がうまく感じられない」
「どうしても肩に力が入ってしまう」
という方がいます。
その原因は「骨盤の不安定さ」にあることが多いです。
反力というエネルギーを受け取るための土台(骨盤)がグラグラしているため、脳が「これでは倒れてしまう!」と危険信号を出し、全身の筋肉をガチガチに固めて無理やり姿勢を維持しようとしている状態です。
今日は、上半身の力を極限まで抜くための「骨盤の安定化(ロック)」について解説します。
「固める」のではなく「締まる」
まずよくある誤解を解いておきましょう。
骨盤を安定させるといっても、お尻やお腹の表面の筋肉に力を入れてガチガチに固めるのではありません。それはただの「力み」です。
必要なのは、体の深層にあるインナーマッスルが協調して働くことで生まれる「締まり」です。
具体的には、以下の3つの筋肉が中心に協力しあう状態です。
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腸腰筋(ちょうようきん): 背骨と脚をつなぐ深層筋
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内転筋(ないてんきん): 内ももの筋肉
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骨盤底筋(こつばんていきん): 骨盤の底をハンモックのように支える筋肉
これらが連携すると、
「下っ腹の奥がキュッと締まる感覚」
「仙骨が前(お腹側)に押し出される感覚」
が生まれます。
これが、骨盤が正しい位置で「はまった」状態です。
脚が地面に刺さり、反力がレーザーになる
この「締まり」ができると、不思議な感覚が生まれます。
大腿骨(太ももの骨)が骨盤にカチッとはまり、まるで脚が一本の杭(くい)となって地面にズブっと刺さっていくような感覚になるのです。

脚が地面に刺されば刺さるほど、その反作用として、地面からの反力がレーザービームのように鋭く、強く、背骨を駆け上がっていきます 。
この時、姿勢は劇的に変わります。
下半身は地面に根を張ったようにドッシリと安定し、上半身は反力でふわっと浮き上がる。
これが、私が重視している「上虚下実(じょうきょかじつ)」の状態です。
上半身の力が抜けないのは、意識の問題ではありません。
下半身(骨盤)という土台が、まだ地面に刺さっていないだけなのです。
大腿骨を刺すための「膝立ち」トレーニング
では、どうすればこの感覚を養えるのでしょうか?
いきなり立って行うのは難しいです。足首やふくらはぎの癖が邪魔をするからです。
いい姿勢、動きをつくるうえで大事なのは「使う関節を減らす」ことです。
そのためINENボディワークで推奨しているのが、「膝立ち」によるワークです。

膝立ちになることで、強制的に「股関節」と「骨盤」だけで体を支える状況を作ります。
この状態で、腰を反らせずまっすぐ立つ練習をすると、否応なしに腸腰筋と内転筋を使わざるを得なくなります。
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膝立ちになり、つま先を立てる。
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お尻の穴を締め、内ももと下っ腹の奥で骨盤を立てる。
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もも裏・尻の力で膝から地面を押し、反力を感じて、頭が上に伸びる。
このシンプルな動作の中に、インナーマッスルを目覚めさせるポイントが詰まっています。
若いころは「筋肉で固める」でもなんとかなる場合はあります。しかし加齢や運動不足で筋力が衰えると、とたんにそれまでの「体の使い方」の問題が表出します。その結果が、コリや疲れ、過緊張感、痛みであったりします。
この「膝立ち」ができると、普段の立ち姿勢や座り姿勢もかわります。
まとめ:土台が変われば、世界が変わる
「姿勢を良くしよう」と鏡の前で背筋を伸ばす前に、まずは骨盤の中の筋肉に目を向けてみてください。
骨盤が内側から安定すれば、もう全身を力ませて鎧のように固める必要はありません。
「下はドッシリ、上は空っぽ」
これが疲れにくくリラックスできる基本姿勢です。
また「脚が地面に刺さる」状態になると、スポーツ、ダンス、武道などでも体が安定し、無駄な力に頼らずにパワフルに動きやすくなります。
より詳しい内容は、無料メルマガやオンライン教室で解説しています。
今回解説した「膝立ちワーク」の具体的なやり方や、腸腰筋を活性化させるためのステップを動画で配信しています。
「理屈はわかったから、その感覚を体感したい」という方は、ぜひ動画を見ながら一緒に体を動かしてみてください。
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