「能力を内部につくる」から「よりよい解を生成できるシステムになる」へ
本稿の位置 :本プロジェクト第4部(技術論)の前編にあたります。 第3部までに立てた構造を、身体技能というもっとも具体的な水準へ降ろします。 技とは何か、上達とは何か、そして能力とは何かを、この順に問い直します。後編『個別技法から生成能力へ』では、技法の鍛錬によって本当に発達しているものを扱います。
要旨
本稿では、技、上達、能力を、身体内部に保存された完成運動ではなく、身体・環境・課題の関係からその都度、機能的な運動を構成する過程として捉え直します。
反復、精密化、自動化、安定化は、熟練に不可欠です。しかし、正しい運動を固定して再生するという説明だけでは、変化する身体や環境に応じて毎回異なる運動を成立させる人間の技能を十分に説明できません。
技において重要なのは、すべての変動を消すことではなく、何を安定させ、何を変動可能にするかです。上達は、探索と自己組織化、収束と精密化、条件変更による再探索を繰り返す過程として進みます。能力は、その過程で蓄積されたリソースと安定傾向を使い、状況に応じた解を構成できるシステムの性質です。
本稿は既存の反復や型を否定せず、それらをこのモデルのなかへ置き直します。運動制御・運動学習の研究は、本プロジェクトの内部モデル論から導いた仮説を独立に検討する材料として参照します。
本稿の見取り図
【螺旋としての上達】一度きりの段階ではなく、何度も往復します
①探索・自己組織化
↓ 自分のリソースから、粗い解を自分で構成する
②精密化・安定化
↓ 型・模範・修正によって、より機能的な解へ収束させる
③条件変更
↓ 距離・速度・相手・課題を変える。形がそのまま使えなくなる
④再探索・再構成
↓ 第二段階で得た原理と感覚が、新しいリソースとして加わる
⑤再精密化
↓
(①へ戻る。ただし前より高い水準で)
【三段階の再定義】
技 = 保存された運動 ──→ 制約のもとでその都度組織される機能的な運動
上達 = 完成形への接近 ──→ 探索と精密化の往復
能力 = 内部の固定システム ──→ 適切な解を生成できるシステムの性質
第I部 技術習得論
1. 従来型の「技をつくる」モデル
伝統的な技能観を単純化すると、次のようになります。
正しい技を理解する → 正しい形を反復する → 身体内部に技を形成する
↓
状況に応じて適切な技を呼び出す ← 技を固定・自動化する
ここでは、人間の内部に一種の運動プログラム、内部モデル、自動化システムを構築していくことが上達だと想定されます。
これは建築や機械の設計によく似たたとえです。姿勢、軌道、筋活動、タイミングといった要素を一つずつ組み上げ、最終的に完成した技をつくる。そして完成品をできるだけ壊さず、正確に再生することが熟練とみなされます。 本稿ではこの見方を工学的人間観と呼びます。定義は第20章で置きます。
しかし、このモデルだけでは熟練者が示す柔軟性を説明しにくくなります。
1-1. これまでの議論との接続
第2部の後編で、内部モデルを その場の状況に応じて解を構成するために使われる材料 と定義しました。完成した解を保存したものではない、としました。第3部では、その材料が経験の圧縮によって形成され、階層をなすことを見ました。
この定義を身体技能へと接続して考えてみましょう。 技が「保存された完成運動」であるなら、内部モデルは完成した解を保存していることになります。 しかし第2部の定義でそれを否定しました。したがって技は、材料からその都度、構成される解であることになります。
同じことは第1部からも言えます。閉じた反復だけで固まった技は、外部からの訂正を受けません。 それは第1部で見た形骸化の、身体技能における形です。 技が生きているとは、条件が変わったときに再び組織し直せることです。
つまり本稿の技の定義は、ここまでの議論からの導出です。 そのうえで第2章から第4章では、運動制御と運動学習の研究も同じ方向を示していることを見ます。 関連研究は本稿の出発点ではなく、独立した裏づけとして置きます。
2. ベルンシュタインの「反復なき反復」
ここから第4章までは、関連研究による裏づけです。 運動制御と運動学習の研究が、1-1 で述べた導出と同じ方向を示していることを見ます。
人間は同じ動作を繰り返しているように見えても、身体の水準では完全に同一の運動を再現しているわけではありません。
ベルンシュタインの議論を継承する運動研究では、この特徴が「 反復なき反復 」(repetition without repetition)として繰り返し論じられています。熟練した運動であっても、課題の結果を達成する個々の運動には変動が存在します [1] 。
これは単なる「運動の誤差」だけとは限りません。
人間の身体には非常に多くの自由度があり、同じ結果を実現する方法が複数存在します。そのため熟練とは、必ずしも毎回同じ関節角度、筋活動、軌道を再現することではありません。 運動の変動を完全になくすのではなく、課題の結果に悪影響を与えにくい方向へ変動を組織すること も熟練の一部と考えられています [2] 。
したがって、反復されているものを、「同一の身体運動」ではなく、
変化する条件下で同じ課題を解決すること
と考えるほうが適切になります。
3. 自己組織化と制約
この問題を理解するうえで中心になる概念が 自己組織化 です。
定義は第2部の前編に書きました。 全体を設計する主体がいないまま、要素間の相互作用と制約から機能的な秩序が生じることです。関連する研究から紹介すると、運動の水準において、これは次のように現れます。
運動におけるダイナミカル・システムズ理論は、行動を脳から一方向的に送り出される命令だけでは説明しません。神経系、筋骨格系、身体の力学、知覚、課題、環境など、多数の要素の相互作用から協調した運動パターンが生じると考えます。
テーレンは運動発達の研究について、発達的な変化を 多因子的、流動的、文脈依存的、自己組織的 なものとして捉え、さらに新しい行動の成立には「探索と選択」が重要だとまとめています [3] 。
この考え方では、次のモデルになります。
従来:脳 → 完成した運動指令 → 身体
本稿:身体 × 脳神経系 × 知覚 × 環境 × 課題 → 相互作用 → 協調パターンの生成
3-1. その場で柔らかく組み上げる
ダイナミカル・システムズ系の研究では、人間の行動を その場で柔らかく組み上げられるもの (softly assembled)として表現することがあります。
つまり、行動を構成する要素が永久に固定された一枚岩のユニットになるのではなく、現在の課題と文脈に応じて、一時的・機能的な協調関係として組み上げられます。
この観点からすると、歩く、手を伸ばす、剣を振るといった行為は、保存された完成品をそのまま取り出しているというより、
その時点で利用可能なリソースを使って成立した、比較的安定した協調状態
です。
なお、この文献群では、その場の組み上がりも self-organization と呼ばれます。 第2部の前編で述べたとおり、本稿ではそれを 構成 と呼び、自己組織化は内部モデルが形成される長期の側に取っておきます。
動的システムの研究では、こうした比較的安定した状態を アトラクター として記述します。アトラクターは「固定された唯一の行動」ではなく、外乱を受けても戻りやすい、好まれた安定状態です。個人・環境・課題の条件が変われば、アトラクターの安定性も変化し、別の運動パターンへ移りえます [4] 。
3-2. 制約が自己組織化を方向づける
自己組織化は「何でも自由にやればよい」という意味ではありません。どのような行動が生じるかは、システムに存在する 制約 によって方向づけられます。
ニューウェルの系譜では、とくに 個体の制約・課題の制約・環境の制約 という三種類が重要視されます。現在の身体能力、身長、筋力、経験、目標、ルール、道具、床、相手、空間などが同時に作用し、その交点からその瞬間の運動が成立します [5] 。
したがって自己組織化は、「教師が何も教えないこと」ではありません。むしろ、
どのような制約を設定すれば、望ましい探索と自己組織化が起こりやすくなるか
を考えることが重要になります。
4. エコロジカル・ダイナミクスによる技能観
三つめの裏づけです。エコロジカル・ダイナミクス(以下ED)は、ダイナミカル・システムズ理論と生態心理学を接続し、人間の技能を 知覚―行為系と環境との関係 として捉えます。
この立場では、運動を「記憶に保存された運動計画を必要なときに呼び出すこと」と説明するより、知覚した環境の情報、意図、身体能力、課題などの相互作用から行為が調整されることを重視します [6] 。
格闘スポーツではこの考え方がとくに理解しやすくなります。実際の対人競技では、選手は一方的に決められた運動を実行しているわけではありません。相手の距離、姿勢、速度、攻撃などに応じて互いに行動を変える 相互適応 が技能の中心になります。格闘競技へのエコロジカル・ダイナミクスの適用研究でも、この相互適応が熟練を考える中心の問題として扱われています [7] 。
これは武術にもそのまま当てはまります。
4-1. 重なる部分と、重ならない部分
EDと本稿は、行為がその都度、組織されるという点で一致します。 一方、内部モデルの扱いは異なります。 EDは内部表象への依存を最小にした説明を志向しますが、本稿は内部モデルを積極的に位置づけます。ただし本稿のいう内部モデルは材料であって完成した解ではないため、 その都度、組織されるという主張とは矛盾しません。
本稿とEDの議論が重なるのは、主に練習設計と実践論の部分です。 制約を操作することで探索を引き出せること、同一条件の反復だけでは適応の幅が広がらないこと、練習環境に実際の遂行環境の情報と行為の関係を保持することが重要であること。EDについては、単独の枠組みとしての適用可能性を問う批判的な検討も存在します [8] 。
5. 技の再定義
以上の三つの研究群は、1-1 で述べた導出と共通する部分があると考えられます。 両者から、技を次のように再定義できます。
技とは、身体内部に保存された固定的な運動パターンそのものではなく、身体・環境・課題の制約のもとで、一定の機能を達成するためにその都度、構成される運動である。
たとえば剣術の正面切りなら、「この関節角度、この軌道、この筋出力を毎回再生すること」が技の本質なのではありません。
相手との距離、相手の姿勢、自分の姿勢、刀の位置、速度、タイミングなどが変わるなかで、
切るという機能を成立させる身体協調をその都度つくる
ことが重要になります。
したがって熟練者がもつものは、完成した技だけではありません。より根本には、 状況に応じて適切な技を構成する能力 があります。
6. 何が不変で、何が変化するのか
ここで「技は毎回異なる」と言ってしまうだけでは、技という概念そのものが消えてしまいます。重要なのは、
何を安定させ、何を変動可能にするのか
です。
| 剣術の例 | |
|---|---|
| 安定している必要がある機能的関係(技の本質) | 適切な間合い、打突点、刀への力の伝達、相手との時間的関係、姿勢を大きく破綻させないこと |
| 幅があってよいもの | 個々の関節角度、細かな軌道、筋活動、歩幅、動作速度 |
したがって、 上達=変動を消すこと ではなく、
重要でない自由度には変動を許しながら、課題達成に重要な関係を安定化すること
と捉えられます。
行動の柔軟性の研究でも、熟練を考えるには、単に運動の変動量を減らすだけでなく、異なる条件に対して解を変化させながら結果を維持する柔軟性を捉える必要があると論じられています [1] 。
6-1. 機能的関係(技の本質)とは
ここに実践上の難問があります。 学んでいる最中の人にとって、どれが技の本質でどれが変動してよい細部なのかは、あらかじめ分かりません。 とくに未知の分野では、この区別を事前に立てることができません。
では、技の本質とそうでないものを区別するにはどうしたらいいでしょうか。
本稿では、条件を変えても保たれる関係を、技の本質と考えます。 距離を変え、相手を変え、速度を変えたときに、崩れずに課題を達成できるものを見出していく作業を繰り返すことで、技の本質とそれ以外を区別できるようになっていきます。
これを区別せず、ただ同じ条件で反復するだけでは、技の本質的な部分と、変動してもよい要素とが区別されないままになります。すると何が本質か分からないため、 体系的な上達プログラムをつくりだすことが難しくなります。
したがって、第9章で述べる条件変更は単なる練習方法ではありません。技の本質を見つけるための手続きでもあります。
6-2. 型の再定義
ここから「型」も再定義できます。
従来、 型=保存すべき理想の運動 と考えられやすいものでした。しかし自己組織化の観点からは、
型=望ましい自己組織化を起こしやすくする制約装置
と考えられます。
型によって探索の空間を狭めることで、学習者が特定の身体の関係、力の伝達、間合い、タイミングなどを経験しやすくします。
したがって、 型と自己組織化は対立しません。 型は自己組織化を方向づける一つの制約です。
6-3. 反復の再定義
同様に、反復そのものも否定されません。変わるのは反復の意味です。
| 反復の意味 | |
|---|---|
| 従来 | 完成した運動を身体内部に刻み込む |
| 本稿 | 異なる身体状態・環境・課題のなかで、機能的な解を繰り返し成立させ、自己組織化を安定させ精密にする |
したがって本稿の第一の重要な命題は、
反復は完成形を刻み込むためだけに行うのではなく、よりよい自己組織化が生じるようにシステムを変化させるために行う。
となります。
第II部 二つのモードを往復する上達論
7. 探索か、正しい形か、という二者択一を超える
第I部では、技とは固定的・不変的なプログラムではなく、環境や課題に応じて構成される側面があることを確認しました。ただし、常に無から構成されるわけではありません。 能力や内部モデルとして洗練・蓄積されていく部分もあります。それが、条件を変えても保たれる関係、すなわち技の本質を支えています。 そして、その技の本質とそれ以外を区別する基準までを説明しました。
ここからは、上達の過程を別の側面から見ます。 技を、①自由な探索(自己組織化)と、②反復による洗練という、二つの過程の往復によって上達させるというモデルです。
これは冒頭で示した伝統的な技能観とは異なります。ただし「正しい型を教える教育は古く、自由な探索や創意工夫だけをさせればよい」という考えでもありません。次のように、それぞれの過程に異なる役割があるからです。
| 利点 | |
|---|---|
| 自由な探索 | 自分の身体資源を知る/自分で問題を解く/リソースを組み合わせる/新しい解を発見する |
| 反復・模範・指導 | 粗い解を精密にする/不要な運動を削る/過去に蓄積された技術文化を継承する/より効率的な解へ収束させる |
したがって両者は排他的ではありません。上達は、 探索・自己組織化モード と 収束・精密化モード の往復として考えるほうが適切です。
8. 第一モード:探索・自己組織化
まず学習者に課題を与え、ある程度、自由に解かせます。たとえば「この位置から相手を打ってみる」とします。
学習者は、現在の身体能力、過去の運動経験、距離感、バランス、既知の動作、知覚、想像、他者から見た動作など、自分がもつリソースを組み合わせて答えを探します。
完成度は低くてかまいません。 ここで重要なのは、
自分のもっている資源から、動きとしての解を自分で構成する
という経験です。
これは単に「正しい答えを知らない初心者の試行錯誤」ではありません。 探索すること自体が学習の対象 です。
制約主導アプローチを用いた実験でも、練習の条件を変えることで選手の探索を促進できることが示されています。たとえばバレーボールのサーブの課題では、ルールという課題の制約を操作することで、選手が自身の行為の可能性をより探索するようになりました [9] 。
8-1. 第二モード:収束・精密化
しかし探索だけでは、局所的・我流的・非効率な解にとどまることがあります。そこで、型、模範、原理、修正、反復、フィードバックによって、動きをより機能的な方向へ収束させます。 ここに従来型の上達論の価値があります。
たとえば教師が「腰が浮いている」「刀だけで届かせている」「ここでは足から入ったほうがよい」などと修正します。
これは学習者の内部へ完成運動をコピーしているのではなく、
探索空間へ新しい制約を加え、よりよい解が生じやすいようにすること
と理解できます。
9. そして再び自己組織化へ戻す
精密化が済んだら、それで終わりではありません。再び条件を変えます。距離を変える、相手を変える、速度を変える、初期姿勢を変える、タイミングを変える、武器の重量を変える、抵抗を加える、課題の目標を変える、などです。
すると、教えられた「形」をそのまま使えなくなります。そこで再び探索が必要になります。
しかし最初の探索とは異なります。 第二のモードで学習した原理・感覚・身体協調が、新しいリソースとして加わっているからです。その結果、 より高い水準での再自己組織化 が起こります。
そして 6-1 で述べたとおり、この条件変更には、技の本質を見つけるという役割もあります。 条件を変えて崩れなかったものが本質であり、崩れたものは条件に依存していた部分です。
9-1. 形から原理へ
この条件の変更には大きな意味があります。
同じ状況だけで反復すると、「このときは、この形をする」という状況に依存した局所解が形成されやすくなります。条件が変わると、その形がそのまま使えなくなります。
そこで学習者は、「なぜこの形になるのか」「この形の何が本質なのか」を身体的に探索しなければなりません。
ここで、 形の再生から、機能的な原理の把握 への転換が起こります。
10. 変動練習にはエビデンスがあるが、単純ではない
この仮説には運動学習の研究から一定の支持があります。
変動練習 (variable practice)や 文脈干渉 (contextual interference)の研究では、異なる課題を混ぜたり、練習条件に変化を加えたりします。一定の条件だけをまとめて反復するよりも、保持や転移に有利になる場合があります。
ただし単純ではありません。 文脈干渉についてのメタ分析では全体として正の効果が確認されましたが、基礎研究での効果のほうが応用の現場より大きく、年齢などによる違いも存在しました [10] 。2024年の転移についてのレビューでも、この効果が単純にあらゆる状況へ一般化できるわけではないことが確認されています [11] 。
非常に大きな運動の変動を積極的に導入する方法が、 ディファレンシャル・ラーニング (Differential Learning)です。一定の有望性を示すメタ分析がある一方、有効性の証拠は決定的ではなく、理論的・方法論的な論争も残っています [12] 。
したがって、 変化させればさせるほどよい という理論にはしないほうが適切です。
練習の変動の適切な量は、技能の水準、課題、もともとの運動の変動性などによって異なる可能性があり、近年の研究でもその調整が論点になっています [13] 。
これは、 初心者には一定の制約と安定化が必要で、ある程度の水準から変動を増やす という本稿の仮説とも整合的ですが、 厳密な最適順序は今後、検証すべき問題です。
11. 上達を螺旋運動として捉える
したがって上達は、次の循環になります。
①探索・自己組織化 → ②精密化・安定化 → ③条件変更 → ④再探索・再構成 → ⑤再精密化
簡略化すれば、 探索 ⇄ 精密化 、 発散 ⇄ 収束 、 自己組織化 ⇄ 制約による洗練 です。
これは一度だけ①から④へ進む段階論ではありません。 何度も繰り返しながら上位の技能の水準へ進む、 螺旋的な上達のモデル です。
探索だけなら粗くなります。精密化だけなら硬くなります。目標は、 精密でありながら柔軟 な技能です。
12. 熟練すると往復そのものが高速化する
初心者では、練習する → 教師に修正される → 再練習する、という長いサイクルで探索と精密化が行われます。
しかし熟練者では、次の循環が一回の行為の内部でも起こります。
状況を知覚する → 行為を構成する → 結果を感知する → その場で修正する
ここから熟練を、 大量の技を固定的に所有している状態 だけではなく、
技を生成し調整するシステムそのものが高度化した状態
として理解できます。
12-1. 自動化されるのは出力ではなく組み立てである
ここで、自動化という語を分けておきます。 熟練を「自動化」と呼ぶとき、二つのまったく違うものが混ざりやすいためです。
| 内容 | 評価 | |
|---|---|---|
| 出力の自動化 | 同じ動作がそのまま出るようになる | 条件が変われば使えません。9-1でいう状況依存の局所解が固定された状態です |
| 組み立ての自動化 | 材料を状況に合わせて組む処理が速く、意識を必要としなくなる | 本章で述べた高速化がこれにあたります |
自動化されるのは出力ではなく、組み立てです。 組み上がるもの自体は毎回違います。
この区別を入れると、従来型の上達論が言う「無意識化・自動化」も否定されないことが分かります。 否定されるのは、自動化されるものが完成した動作そのものだという想定のほうです。
第III部 能力の一般論
13. 技術論から能力論へ
第II部では、上達を探索と精密化の往復として捉え、熟練するとその往復が一回の行為の内部でも起こることを見ました。 あわせて、自動化されるのが出力ではなく組み立てであることを確認しました。
ここまでの構造は、武道やスポーツだけの特殊な理論ではない可能性があります。外国語、仕事、研究、文章の執筆、教育などでも同じ構造を見ることができます。
従来の能力観では、次のように能力が形成されると考えられやすいものでした。
知識を覚える → 手順を覚える → 反復する → 自動化する → 必要時に呼び出す
つまり 能力=内部につくられた固定的なシステム というモデルです。しかし実際の能力の発揮は、もっと構成的です。
13-1. 外国語習得
外国語で実際に会話するとき、人間は単語・文法・定型文を単純に倉庫から取り出して並べているだけではありません。
その瞬間の、相手の発話、文脈、自分の語彙、文法の知識、相手との関係、身振り、予測、それまでの会話などが相互作用して発話が生成されます。
したがって、
単語や文法は形成されるが、発話は構成される
と考えられます。
第二言語の研究にも、 複雑動的システム理論 (Complex Dynamic Systems Theory)という系譜があります。言語の発達を、多数の相互に依存した変数が時間とともに変化し、個人内・個人間の変動やアトラクター状態を示す動的な過程として捉えます [14] 。近年のスコーピングレビューでは、この枠組みを用いた158件の研究が検討され、第二言語の発達における動的・非線形な変化を捉える独立した研究領域が形成されていることが確認されています [15] 。
したがって、外国語について感じられる「暗記したものを再生するだけでは実際には話せない」という経験は、少なくとも動的システム系の第二言語研究と理論的に整合します。
13-2. 仕事能力
仕事も同じように考えられます。
たとえばライターなら、語彙、構成の技術、専門知識、読者の理解、取材や資料の読解、過去の執筆経験、類比、問題設定などのリソースをもっています。しかし、記事そのものを固定的に保存しているわけではありません。「今回は誰に何を説明するのか」という課題に応じ、それらを毎回、再編成します。
同様に、研究者なら「どの理論と証拠を組み合わせるか」、経営者なら「現在の市場環境と自社の資源をどう結びつけるか」、教師なら「この学習者には何を教え、何を自力で探索させるか」をその場で構成します。
組織・専門職の研究では、二つの熟達を区別する議論があります。一つは、既存の技術知識を効率的に適用する 定型的な熟達 (routine expertise)です。もう一つは、不慣れで変化する問題に対して知識を再構成する 適応的な熟達 (adaptive expertise)です。動的な領域ほど後者の重要性が高くなります [16] 。
したがって仕事能力への拡張は、本稿独自の仮説を含むものではありますが、適応的な熟達の研究とかなり近いものです。
14. 「形成」か「構成」かではない
ここで最も重要な修正を加える必要があります。
この理論を、 能力は形成されない。すべてその場で生じる。 と主張するのは極端です。
経験によって明らかに、筋力、柔軟性、知覚能力、語彙、概念、記憶、判断の基準、注意の向け方、運動協調、習慣などが形成・変化します。
動的システム論でも、過去の経験が現在のアトラクター地形を変化させ、特定の行動を生じやすくするという考え方をとります。発達の過程では、個々の構成要素の発達と、それらの自己組織化によって、新しい安定した行動が現れると説明されます [17] 。
したがって重要なのは、 形成か構成か という二者択一ではなく、
形成されたものを材料として、能力がその場で構成される
という階層化です。
15. 何が内部に形成されるのか
本稿では、内部に形成されるものを大きく リソースと安定傾向 として捉えます。
| 内容 | |
|---|---|
| リソース | 身体能力、知識、語彙、記憶、技術要素、知覚能力、経験、概念、問題解決の方法 |
| 安定傾向 | 特定の身体協調、注意の向け方、判断の癖、知覚―行為結合、問題に対する典型的な解法、アトラクターとしての安定した行動パターン |
これらは形成されます。しかし、 現実の課題における「能力発揮」そのもの は、これらと現在の環境・課題との相互作用から構成されます。
これは第2部の後編『内部モデルとは何か』で述べた内部モデルの定義そのものです。 内部モデルとは、その場の状況に応じて解を構成するために使われる材料でした。 本章のリソースと安定傾向が、身体技能の水準におけるその材料にあたります。 第3部で扱った概念や意味ブロックは、上の表でいえばリソースの側に含まれます。
したがって、
能力そのものを完成品として形成するのではなく、能力を構成するためのリソースと、よりよい構成が生じやすい傾向を形成する
と考えられます。
16. 能力の一般定義
ここまでから、能力を次のように仮に定義できます。
能力とは、内部に保存された完成されたプログラムではなく、蓄積された身体的・知覚的・認知的・経験的リソースを、環境や課題との関係のなかで機能的に編成し、適切な解を生成できるシステムの性質である。
したがって、 能力をもつ とは、単純に大量の回答を記憶していることではありません。 答えをつくることができる ことです。
第IV部 教育論への展開
17. 教師の役割の転換
第III部では、能力を「蓄積されたリソースを環境や課題との関係のなかで編成し、適切な解を生成できるシステムの性質」と定義しました。 この定義を採ると、教える側の役割も変わります。
| 教師の役割 | |
|---|---|
| 従来 | 正しい知識・技術を学習者の内部へ形成する人 |
| 本稿 | 学習者自身から望ましい自己組織化が生じるよう、環境・課題・制約・情報・フィードバックを設計する人 |
エコロジカル・ダイナミクスには、コーチやスポーツ科学者を 練習環境の設計者 (sport ecology designer)として捉える議論があります。豊かで変化のある練習環境のなかで、安定した知覚―行為の関係を形成しながら、自己調整の能力を発達させるという考え方です [18] 。
また 代表性のある練習設計 (representative learning design)では、実践の場面で利用される情報と行為の関係を、練習の環境にもできるだけ保持することが重視されます [19] 。
これは、「正解の形を繰り返させる」から、 「実際に解かなければならない問題を適切な形で経験させる」 への転換です。
18. しかし教師は不要にならない
ここでも自己組織化を放任主義と混同してはいけません。学習者に何も与えず自由にさせれば、必ずすぐれた解へ到達するわけではありません。
教師は、課題、型、ルール、フィードバック、模範、知識、環境を操作して探索の空間を設計します。
したがって教育の中心の問題は、
何を中央から保証し、何を学習者の自己組織化へ委ねるか
になります。
これは第1部の第23章で、文化について立てた問いとまったく同じ形です。 そこでは「何を固定し、何を開くのか。何を中央的に保証し、何を分散的な自己組織化へ委ねるのか」と述べました。 技能の指導と制度の設計は、この点で同じ問題を扱っています。
第V部 従来型上達論との統合
19. 従来型の上達論を否定するのではなく再配置する
ここまでで、技・上達・能力の三つを再定義し、教える側の役割まで見てきました。 最後に、これらが従来型の上達論とどういう関係にあるのかを整理します。
本稿の目的は、従来型の上達論をすべて捨てることではありません。むしろ、反復、正しい形、精密化、安定化、自動化の意味を、自己組織化のモデルの内部に再配置することです。
| 反復の目的 | |
|---|---|
| 従来 | 正しい技を形成するために反復する |
| 本稿 | よりよい解が自己組織化されやすい身体・知覚・認知システムを形成するために反復する |
つまり、 何かが形成される という洞察は維持します。しかし、 形成されるもの=完成した技そのもの とは考えません。
形成されるのは、リソース、協調関係、アトラクター、知覚―行為の関係、問題解決の傾向などです。それらから、実際の技はその都度、構成されます。
20. 「工学的人間観」から「生態学的人間観」へ
ここには、技能論を超えた転換を見ることができます。
第1章で見た従来型のモデルは、単なる技能論ではありません。人間そのものをどう捉えるかという見方の現れです。 本稿ではこれを 工学的人間観 と呼びます。
工学的人間観とは、人間の能力を独立した要素へ分解し、正しい手順で順に組み上げれば望ましい出力が得られる、と考える見方である。
姿勢、軌道、筋活動、タイミングを一つずつ組み上げ、完成した技をつくる。 これは機械を設計する手つきと同じです。
そしてこの見方は、技能の指導だけに現れるものではありません。 教育、人材の育成、組織の管理にも同じ形で現れます。第17章で見た「正しい知識・技術を学習者の内部へ形成する人」という教師像も、その一つです。
| 人間観 | 近いたとえ | |
|---|---|---|
| 工学的人間観 | 人間の内部に、能力を部品として組み上げる | 建築、機械、プログラム |
| 生態学的人間観 | 人間―環境システムが、利用可能なリソースから必要な秩序をその都度、生成する | 生態系、動的システム、流体、即興演奏 |
ただし後者は「構造が存在しない」という意味ではありません。 過去の経験によってシステムの構造そのものが変化し、それによって将来ある種の行動が生まれやすくなります。
したがって、
構造は存在するが、行為を完全に事前決定する完成プログラムではない。
という中間的な人間観になります。
20-1. 工学そのものへの批判ではない
誤解を避けるために断っておきます。 ここでいう工学的人間観は、工学という学問への評価ではありません。
機械や装置に対しては、分解して設計し、管理するという手法は不可欠です。第1部の後編で見たとおり、装置が実際に作動するかどうかは、体系の内部で正しいと宣言するだけでは変えられません。 工学はきわめて強い外部フィードバックのもとにある営みです。
問題は、その手法を人間の学習と成長へそのまま持ち込むことにあります。 装置は経験から自分の構造を組み替えませんが、人間は組み替えます。第2部の後編で述べた区別が、ここにも当てはまります。 自動車はシステムですが内部モデルではありません。人間は内部モデルをもちます。
21. 本理論の中心モデル
全体を圧縮すると、次の三段階になります。
第一段階:技術論
| 技とは | |
|---|---|
| 従来 | 反復によって内部に固定された運動 |
| 本稿 | 形成されたリソースを利用し、身体・環境・課題の制約のなかでその都度、構成される機能的な運動 |
第二段階:上達論
上達とは、 探索・自己組織化 ⇄ 精密化・収束 の往復です。具体的には次の螺旋になります。
自由探索 → 粗い解の発見 → 型・指導・反復による精密化 → 条件変更
↓
再精密化 ← 原理の発見 ← 再探索
第三段階:能力一般論
| 能力とは | |
|---|---|
| 従来 | 内部に完成された固定システム |
| 本稿 | 蓄積されたリソースと安定傾向を使い、現在の身体・環境・課題との関係から、適切な解を構成できるシステムの性質 |
22. 中心命題
以上から、現段階では次の命題を本理論の核とします。
命題1 技は固定された運動そのものではなく、状況のなかで構成される。
命題2 反復によって形成されるのは完成した技だけではなく、よりよい運動を自己組織化しやすくするリソース・協調関係・安定傾向である。
命題3 上達には「探索・自己組織化」と「収束・精密化」という二つのモードがあり、その往復によって柔軟性と精度を同時に高めていく。
命題4 状況変化を含む練習は、獲得した形をそのまま再生できなくすることで、その背後にある機能的原理の再発見と適応を要求する。
命題5 能力とは完成された回答の集合ではなく、新しい状況に対して適切な回答を生成できるシステムの性質である。
以上をまとめると、
上達とは「能力という完成品をつくること」ではなく、「よりよい解を生成できるシステムになること」である。
23. まだ仮説として残す部分
本稿のすべてが既存研究によって確立されているわけではありません。とくに次の五点は今後の検討課題です。
- 「探索→精密化→再探索」という順序が、あらゆる技能で最適なのか。
- 初心者と熟練者で、最適な変動量がどの程度、異なるのか。
- 武道の「型」を、自己組織化を導く制約としてどこまで一般化できるか。
- 運動技能で得られたモデルを、知的労働へどこまで一般化できるか。 第III部で外国語と仕事へ広げましたが、これは構造的な類推です。
- 内部モデルをどの程度まで必要とするのか。
五点めについては、第2部の後編で答えを出しています。 内部モデルを「完成した解の保存」ではなく「解を構成するための材料」と定義することで、行為がその都度、組織されるという主張と両立させました。
したがって本稿では、 「内部モデルは存在しない」とは結論しません。 むしろ、
内部に形成されるものが存在するとしても、それだけから技能を説明するのではなく、身体―環境―課題の相互作用と自己組織化を含む階層的モデルを採用する
という立場をとります。このほうが現時点では理論的にも経験的にも堅牢です。
次稿では、技法を練習することによって実際に何が発達するのかを扱います。 本稿でいう「リソースと安定傾向」の中身を、生成能力という観点から検討します。
この見方が外れる条件
本モデルは、次の場合に成り立ちません。
- 熟練が変動の消失として説明できる場合。 本稿は、熟練が変動をなくすことではなく、課題の結果に影響しにくい方向へ変動を組織することだと述べています。熟練者ほど運動が同一に近づき、その同一性が成績を説明するのであれば、この前提は成り立ちません。
- 同一条件の反復だけで技の本質が分かる場合。 6-1 と第9章は、技の本質を条件変更によってしか確かめられないと述べています。同じ条件で反復するだけでも本質と細部が分離されるのであれば、この主張は不要になります。
- リソースと安定傾向が、能力発揮のほとんどを決めている場合。 本稿は、形成されたものと現在の環境・課題との相互作用から能力が構成されると述べています。もし内部に形成されたものだけで成績のほとんどが説明でき、環境や課題の寄与が小さいのであれば、「構成」という枠組みは不要になります。
注記
本稿の「技・上達・能力の三段階の再定義」「探索と精密化の螺旋」「自動化の二分」という枠組み自体は、参照した文献に既存の単一理論として存在するものではありません。ベルンシュタインの系譜の運動研究、ダイナミカル・システムズ理論、エコロジカル・ダイナミクス、制約主導アプローチ、文脈干渉の研究、第二言語の動的システム研究、適応的な熟達の研究などを参照しながら構成した仮説モデルです。
とくに次の四点は本稿の解釈です。第一に、型を「望ましい自己組織化を起こしやすくする制約装置」として読むこと。第二に、条件変更を「技の本質を見つける手続き」として位置づけること(6-1)。第三に、自動化を出力の自動化と組み立ての自動化に分けること(12-1)。第四に、従来型の技能観を「工学的人間観」という一般的な見方の現れとして読むこと(第20章)。第III部で運動技能のモデルを外国語や仕事へ広げている点は、構造的な類推です(第23章の課題4)。
参照資料
1. ランガナサン(Ranganathan, R.), Lee, M.-H. & ニューウェル(Newell, K. M.)(2020). “Repetition Without Repetition: Challenges in Understanding Behavioral Flexibility in Motor Skill.” Frontiers in Psychology , 11:2018. DOI: 10.3389/fpsyg.2020.02018. 熟練運動にも変動が存在するというベルンシュタインの「反復なき反復」を出発点に、熟練における behavioral flexibility をレビューしています。 https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.02018 ↩
2. Cohen, R. G. & Sternad, D. (2009). “Variability in motor learning: relocating, channeling and reducing noise.” Experimental Brain Research , 193(1), 69–83. DOI: 10.1007/s00221-008-1596-1. 運動学習にともない変動が単純に消失するだけでなく、課題の結果への影響を減らすよう変動の構造が変化することを分析しています。 ↩
3. テーレン(Thelen, E.)(1995). “Motor development: A new synthesis.” American Psychologist , 50(2), 79–95. DOI: 10.1037/0003-066X.50.2.79. 運動発達を multicausal, fluid, contextual, self-organizing な変化として整理し、探索と選択の役割を強調しています。 https://doi.org/10.1037/0003-066X.50.2.79 ↩
4. Golenia, L. et al. (2017). “What the Dynamic Systems Approach Can Offer for Understanding Development.” Frontiers in Psychology , 8:1774. DOI: 10.3389/fpsyg.2017.01774. 個体・環境・課題の相互作用、アトラクター、安定性と変動の関係について整理されています。 https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.01774 ↩
5. Dehghansai, N. et al. (2020). “Understanding the Development of Elite Parasport Athletes Using a Constraint-Led Approach.” Frontiers in Psychology , 11:502981. DOI: 10.3389/fpsyg.2020.502981. ニューウェル(K. M. Newell)に由来する individual / task / environment constraints の枠組みを整理しています。 https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.502981 ↩
6. Gottwald, V. et al. (2023). “Every story has two sides: evaluating information processing and ecological dynamics perspectives of focus of attention in skill acquisition.” Frontiers in Sports and Active Living , 5:1176635. DOI: 10.3389/fspor.2023.1176635. エコロジカル・ダイナミクスでは運動計画の単純な記憶・呼び出しよりも、知覚―行為結合と個体―環境の相互作用が重視されることを、情報処理論との対比で整理しています。 ↩
7. Krabben, K., Orth, D. & van der Kamp, J. (2019). “Combat as an Interpersonal Synergy: An Ecological Dynamics Approach to Combat Sports.” Sports Medicine , 49(12), 1825–1836. DOI: 10.1007/s40279-019-01173-y. 対人競技で選手どうしが連続的に co-adapt することを技能の中心として論じています。 ↩
8. コリンズ(Collins, D.)ほか (2025). “Ecological Dynamics as an Accurate and Parsimonious Contributor to Applied Practice: A Critical Appraisal.” Sports Medicine , 55(4), 799–810. DOI: 10.1007/s40279-024-02161-7. エコロジカル・ダイナミクスについて、機構・認識論・単独の枠組みとしての適用可能性を批判的に検討しています。 https://doi.org/10.1007/s40279-024-02161-7 ↩
9. Moy, B., Renshaw, I. & Gorman, A. D. (2024). “Applying the constraints-led approach to facilitate exploratory learning of the volleyball serve.” Journal of Sports Sciences , 42(6), 511–518. DOI: 10.1080/02640414.2024.2345415. 課題の制約の操作によって探索行動が変化した実験です。 ↩
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11. Czyż, S. H. et al. (2024). “The effect of contextual interference on transfer in motor learning: a systematic review and meta-analysis.” Frontiers in Psychology , 15:1377122. DOI: 10.3389/fpsyg.2024.1377122. contextual interference の転移効果について既存研究を再検討し、条件依存性を示しています。 ↩
12. Tassignon, B. et al. (2021). “An Exploratory Meta-Analytic Review on the Empirical Evidence of Differential Learning as an Enhanced Motor Learning Method.” Frontiers in Psychology , 12:533033. DOI: 10.3389/fpsyg.2021.533033. Differential Learning を他の運動学習法と比較したメタ分析です。 有望性は認めつつ、有効性の証拠は決定的ではなく、質の高い研究がさらに必要であると結論しています。 ↩
13. Caballero, C., Barbado, D., Peláez, M. & Moreno, F. J. (2024). “Applying different levels of practice variability for motor learning: More is not better.” PeerJ , 12:e17575. DOI: 10.7717/peerj.17575. 練習の変動量の効果が学習者のもともとの変動性などによって異なりうることを扱っており、単純な「変動量の最大化」ではなく適切な調整の必要性を示しています。 ↩
14. de Bot, K., Lowie, W. & Verspoor, M. (2007). “A Dynamic Systems Theory approach to second language acquisition.” Bilingualism: Language and Cognition , 10(1), 7–21. DOI: 10.1017/S1366728906002732. 言語発達を、相互に依存する変数、初期条件への依存性、アトラクター、個人内・個人間の変動をもつ動的過程として論じています。 ↩
15. Hiver, P., Al-Hoorie, A. H. & Evans, R. (2022). “Complex dynamic systems theory in language learning: A scoping review of 25 years of research.” Studies in Second Language Acquisition , 44(4), 913–941. DOI: 10.1017/S0272263121000553. 158件の報告を分析し、CDSTを用いた第二言語研究の成果と方法論的な課題を整理しています。 ↩
16. “Experts and Expertise in Organizations: An Integrative Review on Individual Expertise.” Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior , Vol. 12. DOI: 10.1146/annurev-orgpsych-020323-012717. adaptive expertise を、既存の技術知識だけでは不十分な問題に対して知識・技能を再編成する能力として整理し、変化する領域での重要性を論じています。 ↩
17. 脚注3・4であげた Dynamic Systems Theory の発達研究では、行動レパートリーを、個別要素の発達とそれらの self-organization の双方から生じる attractor landscape として説明する整理があります。 ↩
18. Woods, C. T. et al. (2020). “Sport Practitioners as Sport Ecology Designers: How Ecological Dynamics Has Progressively Changed Perceptions of Skill ‘Acquisition’ in the Sporting Habitat.” Frontiers in Psychology , 11:654. DOI: 10.3389/fpsyg.2020.00654. 実践者を環境の designers と捉え、豊かで変化のある練習環境を通した自己調整と知覚―行為結合の発達を論じています。 ↩
19. Pinder, R. A., Davids, K., Renshaw, I. & Araújo, D. (2011). “Representative learning design and functionality of research and practice in sport.” Journal of Sport and Exercise Psychology , 33(1), 146–155. DOI: 10.1123/jsep.33.1.146. 練習環境に実際の遂行環境の情報・行為の関係を保持する representative learning design を提唱しています。 ↩